黒崎 聡美
2月27日~29日の日程で岩手県宮古市へ石川菓業青年会の皆様と共にボランティアに行ってきました。
大震災からほぼ1年が経過し、少しずつ復興しているところもあるとは聞いていたものの、一面雪で覆われた、どこまでも続く白く広い平野には、そこに人々の生活があったことがうかがえる家の土台がしっかりと残されており、街ごと流された津波の痕跡がありました。
バスの移動では一睡も出来なかったのですが、最初に訪問させて頂いた、田老保育所の可愛い子どもさん達の笑顔に元気をもらっての呈茶。小さな手で上手に作った椿のお菓子で上手にお抹茶を一服。冬の日差しがまぶしい保育所にはたくさんの明るい笑顔がありました。
午後は、サポートセンターでのお菓子作りと呈茶。そこにも、予想以上にたくさんの皆さんの来館で、明るい笑い声と笑顔がありましたが、私は皆様に背を向けたままで、せっせと茶筅を振り続けておりました(笑)
その後、世界屈指の堤防とまで言われた田老堤防へ移動、無残に崩壊した姿を目の当たりにし、目を覆いたくなる気持ちを感じながらお亡くなりになられた方々へ黙祷をささげると、涙がみるみるうちに溢れてきました。
あの場に立たなければ感じえることがなかったであろう、胸の痛みは忘れることが出来ません。
夕方、宮古商業高校を訪ね、お菓子作りと呈茶。ここにも、礼儀正しい生徒さん達のたくさんの笑顔があり、岩手の先生方と共に、自作のお菓子でお抹茶を一服。生徒さんから、「いつものお茶よりおいしい~」とうれしい言葉をいただき、心が温かくなりました。
夜は、地元の先生方やお菓子組合の皆様を交えての懇親会があり、その席で、初めて震災の様子を耳にし、地元の方々がどのような思いでこの1年を過ごされてきたかを聞かせていただきました。
翌日は「かもめの卵」で有名なさいとう製菓さんの工場見学、さいとう製菓さんの第一工場も被災されたとのことでした。その後も車窓から見える震災の傷跡や行き場のないたくさんの瓦礫の固まりがいくつも放置されている風景を見ながら、震災の象徴とされた、陸前高田の奇跡の一本松を対岸から眺め、黙祷をささげると、やはり、自然と涙が溢れてきました。
かなり強行日程ではありましたが、今回、本当に貴重な経験をさせていただきましたことに、心より感謝しております。