2019年8月31日(土)9月1日(日)@ホテル熊本テルサ
参加報告
石川南青年部 行松妃奈子
1)大会の概要
とき:令和元年8月31日(土)9月1日(日)
ところ:ホテル熊本テルサ
主催:一般社団法人茶道裏千家淡交会九州地区
主管:茶道裏千家淡交会青年部九州ブロック
2)大会テーマと内容
『全九州交流計画~親子の交流と仕え合い~』
支部と青年部の充実と発展
世代間の理解を深めよう
道・学・実の研鑽
1日目
青年部育成委員会
研修Ⅰ:分科会「親子の仕え合い」(1グループ10名程のグループディスカッション)
研修Ⅱ:講義「水屋の心得」 今日庵業躰 北見宗樹先生
ナイト茶会
2日目
全国委員会助言 全国代表者会議 奥山卓議長
研修Ⅲ:講演「日本文化と地域創生」 建築家 椿邦司氏
3)研修での習得事項
今回の九州地区親子合同研修会は4年ぶりの開催であった。
2年ごとに行われているこの研修会であるが、
ちょうど2年前は九州地区の周年行事と重なったことが理由である。
この研修会、会場に入った瞬間から活気を感じた。
支部の先生方、先輩方と青年部の方々が互いにコミュニケーションを積極的に取り合っている。
数日前から続いていた豪雨のことを感じさせない、
パワフルでカラッとした明るい雰囲気の中、研修会はスタートした。
この研修会、親子合同であるので、支部と青年部が同じ時間、空間で研修を行う。
全国でも親子合同の研修会が行われている地区は少ない。
親子合同の研修会であるからこそできること、学べることがあると感じ、それを意識しながら参加した。
3つの研修はそれぞれ考えさせられる課題が異なったことで、様々な方面から”支部と青年部のつながり”や”世代間の交流”、”茶道”それ自身について考えるきっかけとなった。
特に興味深かった研修は、研修Ⅰの分科会である。
青年部育成委員会が行われる傍ら、支部と青年部が同じ円卓を囲み、グループディスカッションが行われた。
25グループ、それぞれ与えられた3つのテーマのうちⅠつをⅠ時間で話し合い、最後にその結果を時間の限り全員で共有するという流れであった。
テーマは以下の通りである。
1. 支部と青年部とのより良い親子関係を築くためには
2. 各支部、青年部のアピールできる行事、今後やってみたい行事は
3. 行事にはいつも同じ顔ぶれ、もっと多くの会員の参加を促すには
どのテーマも全国のどの青年部も課題となっていることではないだろうか。
このテーマに関して、青年部の方が進行役となりながら、支部の先生や先輩方、そして青年部会員の間で議論が交わされた。
実際に自分がディスカッションに参加して感じたこと、
それは支部の先生や先輩方の声を直接聞くことができるという新鮮な感覚、そして先生や先輩方の経験や助言から多くのことを学ぶきっかけとなるということであった。
加えて、青年部側からも支部の先生や先輩方に、ご提案したり、質問を直接投げかけることができるといったような貴重な機会であった。
まず、課題1について。これはどのブロックにも重なることではあるが、支部と青年部のつながりが主に役員同士のみとなりがちであるという指摘があった。
特に、青年部側から支部へのコミュニケーションは部長や副部長、役員が中心である。支部の先生方、先輩方がいらっしゃるからこその青年部の存在であり、青年部会員が支部の先生方や先輩方と関わることがより良い親子関係を築くことにつながるのではないかと考えられる。
具体的には、支部の先生や先輩方との合同企画を多く開催する、大事な生徒さんが青年部にいらっしゃる先生にしっかりと生徒さんのことを報告する、などである。
メールで一斉送信できる時代ではあるが、直接顔を合わせてつながることで伝わることがり、一人一人の先生、先輩方と、青年部会員がつながること、同じ空間、時間を共有しお互いを理解し、想い合うきっかけを作っていくことが必要ではないかという結論であった。
次に、課題2について。支部の行事から青年部が学ばせていただき、青年部の行事では支部の方に応援してもらう、そのような行事が理想的である。
特に青年部は、青年部、さらに茶道を知ってもらえるきっかけとなるような行事、ハードルの低いとっつきやすい行事を企画することが良いのではないかいう意見も出た。
また、面白さのある突拍子もない企画で、思わず興味が湧いてしまう、その空間にいる誰もがわくわくする企画をやって行きたいという意見もあった。
最後に、課題3について。会員の減少が目立つ昨今、新入会員の増加を目指すことも必要であるが、それ以上にまずは現在入会している会員の満足度を上げる、退会する会員の人数を減らすことが必要なのではないかと考えられる。
この点を考える上で、課題3は重要なテーマである。ディスカッションでは、特に、支部の先生方から過去の経験を直接聞くことで、現在の青年部の体制と比較することができ、学ぶことが多かった。以前までは青年部自体が細分化されており、コミュニティ自体が小さかったため、1人1人の責任や役割が必ず存在したため、参加率も高かったという。
しかし現在は、1支部1青年部となり、コミュニティ自体は拡大するも、入会しているが行事に参加できなくなってそのままになってしまったり、参加しなくてもいいかと思わせてしまう実情がある。もちろん個人の事情はあるが、それでもまずは参加するきっかけを作ることが必要ではないだろうか。
そこで、まずは1人1人の会員の実情を把握する、大切にすることが必要であるのではないかという指摘があった。同じ顔ぶればかりで、せっかく様々な会員の方がいるのに一緒に活動できないことはとても寂しいことである。
個人の実情があるのは事実であり、だからこそ個々のニーズがある。もっと知識を得たい、ご縁を広げたい、趣味の場としたい、家でもなく仕事の場でもない第三の空間として過ごしたい、様々なニーズの中で、誰もが安心して過ごせる、ホッとできる場所、かつ自分が求められていると感じることができる場所とする必要があるのではないだろうか。
すでに会員となっているにもかかわらず、参加率の低い会員に必要なのは、参加するきっかけと歓迎されていると思える空間、そして彼らのニーズにあった企画である。
一人一人に合ったアプローチ、役割、そして与えることのできる責任があり、一人一人の会員と丁寧に向き合うことでそれが見えてくるのではないだろうか。
4) 研修での感想
九州地区の親子合同研修会で感じたのは、青年部側の「支部の先生や先輩方に応援してもらいたいという気持ち」、そして支部の先生や先輩がたからは「自身の生徒を思う気持ち、応援したいと思う気持ち」であった。お互いが想い合っている親子関係であり、それはお互いが直接面と向かって話す場が設けられているからこそ深まるもの、そしてそのような素晴らしい関係があるということが見えてくるということを実感した。同じ研修会はできなくとも、支部の先生や先輩方があっての青年部であるということを忘れずに、さらに一緒に活動できる機会を増やすことができたら、と強く感じた。親子関係の強さ、深さが、それぞれの活動の充実につながると考えた。
また、青年部会員の減少という課題に向き合い、役員だけでなく一般会員も一緒になってその課題について取り組むことのできたグループディスカッションはとても興味深かった。茶道を愛好する一人一人が、お茶を通じて、活動の中で友情や情熱を感じることのできる時間と空間を作っていくこと、そのために一人一人を大切にしていき、深い関係性を築いていくことの重要性を感じた。それぞれの青年部やブロックでの具体策、成功事例が今後の全体の動向に深く影響を及ぼすと考える。うまくいった事例については情報共有をしていき、その輪を広げていきたい。新入会員はもちろんであるが、まずは既存の会員を大事にできる青年部、ブロックでありたいと感じた。
ブロック間交流という貴重な機会をいただき、自分のいるブロックの良さ、九州ブロックの良さの双方を感じることができた。外に出てご縁を広げること、新たな視点を得ることで自分のブロックや青年部に持ち帰り、さらなる活動の充実につなげていけるよう努めたい。